ロスト・イン・トランスレーション

ウィスキーのCM撮影のため来日した落ち目のハリウッドスターのボブと、カメラマンの夫に同行して来日したシャーロットが、異国の地「東京」で、不安と孤独の中で出会い、淡い恋に落ちて行く。

二人は言葉も文化も違う異国で、どんどん孤独感や疎外感を募らせ、母国の家族や、愛する人との会話やファックスのやり取りなどをするものの、何一つ払拭することができない。

子持ちの中年男ボブと大学を出たばかりの若妻シャーロットが交わす会話は極端に少ないにもかかわらず、お互いの「感情」に関する解釈がぴったりと合ってしまう 「いまさらな巡り会い」 が、もどかしくて、切ない。

この 「ロスト・イン・トランスレーション」 とは 「翻訳(解釈)によって失われるもの」 という意味で、アメリカでは劇中の日本語に一切字幕がつけられなかったそうです。

この映画を通して、アメリカ人がどういう感覚で「東京」を鑑賞されたのかは想像に難くない。

それくらい、東京が奇妙で奇抜なものになってしまっています。
日本人から見れば、なんだかちょっと小馬鹿にされているようで、気分が良くないシーンも結構あります・・・・。

ただ私は、外国人監督の作品にしては、東京と言う街がめずらしくクールに描かれているようにも感じるのです。

監督のソフィア・コッポラは日本滞在歴が長く、東京に対する思い入れがそれなりにある人物だからなのかも知れませんが、欧米にありがちな「不思議ニッポン」とはちょっと一線を画する雰囲気を持った作品だと思います。

深夜になっても人の波が耐えることなく、言葉の通じない外国人を阻害することもなく、歌舞伎町も官公庁街も何でも普通に受け入れてしまう「新宿」は、この映画の格好の舞台だったのかも知れません。

そして、中年男ビル・マーレイのやる気のなさそうな飄々とした感じが気に入ったという方は是非「ブロークン・フラワーズ」もご鑑賞ください。


作品情報

題名 : ロスト・イン・トランスレーション
制作 : 2003年
監督 : ソフィア・コッポラ
出演 : ビル・マーレイ スカーレット・ヨハンソン ジョバンニ・リビジ アンナ・ファリス


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